僕を信じてと歌った彼

わたしが初めてその人を知ったとき、彼は松竹座の花道で「僕を信じて」と歌っていた。その声はあまりにも透き通っていて、それを歌う彼の表情に思わず圧倒されたのを覚えている。わたしが見たのは座席からではなくて、友達から借りた2010年の少年たちのDVDだったけれど。

 

たくさんの年上で歴も上の先輩たちがいるなかで、そのキャラメルボイスと呼ばれるその声は負けていなかったどころか、勝ちすぎていた。わたしはすぐに彼、重岡大毅の担当を名乗るようになる。だって信じろと言われたのだ、信じるしかない。

 

それから言い切れないほどのいろんなことがあって、彼らはクリスマスにドーム公演をした。わたしが行けたのは、25日の2部。つまり最終公演。twitterに流れる情報で彼らがJr.時代の歌を歌ったのは知っていたが、いざNEXTSTAGEのイントロが流れたとき、わたしは体がふらつくような感覚を覚えた。そして、彼はまた、「僕を信じて」と歌った。

 

Jr.時代のデビューに向けた力強さは無かった。しかし、これからのジャニーズWESTの先を心配させないような安心感がその歌声にはあった。わたしは彼を信じている。その歌声に嘘はないと信じて